かげきしょうじょ!!

かげきしょうじょ!!リレー連載 第4回 [杉本紗和役・上坂すみれ × 山田彩子役・佐々木李子]

――第五幕では山田の苦悩がじっくり描かれましたね。

佐々木 原作を読んで知っていたはずなのに、役に入り込んで演じながら泣きそうになりました。私も、変わらなきゃと自分を追い込んだり、自分と誰かを比べたりと、お芝居の世界に入って同じ悩みを抱えたことがあったので、山田さんの気持ちがよくわかったんです。苦しんで、苦しんで……でも予科生の仲間がいて、小野寺先生が優しくも力強い言葉を掛けてくれたおかげで、未来を、歌を信じて歩き出す。その流れがすごくよかったです。

上坂 家で台本を読みながら泣きました。私自身は山田さんのような悩みって体験したことがほとんどなかったので、こんなに思い詰めてしまうものなのかと。まわりも察するけれど、深いところまでは気付けないという状況がリアルに伝わってきましたし、嗚咽するシーンをはじめ、描写の一つ一つが衝撃的でした。

佐々木 トイレで吐くシーンは、ハンカチを口の中に押し込んで芝居を作ったんです。

上坂 えええ! 普段、山田さんと杉本さんは一緒にアフレコすることが多いんですが、この話数は別録りだったんです。でも台本を読んだだけで、こちらまで苦しくなりました。だからこそ、最後に光が見えてよかったなと。一度苦しんだことでもう一段階、強くなれたと思うんです。山田さんはきっと大丈夫なんだろうなって。

佐々木 私が一番ぐっと来たのは、小野寺先生が男子禁制の寮に来て山田さんの背中を押すシーンです。あのときの言葉は山田さんだけではなく、私にも刺さる言葉ですごく勇気づけられましたし、何かを諦めそうになっている人に絶対に見てほしいなと思いました。

――第一幕の頃とは、だいぶ印象が変わりました。

佐々木 いつも笑顔でおっとりしている癒しキャラだなと思いつつ、ちょっと気弱な部分があるので、最初はおどおどした姿を見て守ってあげたいなと思っていました(笑)。もちろん、今もそういう一面はありますけど。

上坂 他の生徒が火花を散らしたり、騒いだりするときに、一歩引いたところから「仲良くして」みたいなことを言える子なので、クラスに絶対いてほしい子ですね。本当に優しい子なんだなと。

佐々木 愛されキャラですよね。作中でもかわいらしく描かれていますが、作品の外でも山田さんはスタッフさんの人気が高いと伺ったんです。それを知ってより愛されるような役作りを意識しようと思って。おどおどしていて声も小さいんですが、まわりを気遣える子なので変に弱々しくなりすぎず、なるべく明るく演じるようにしています。いつも笑顔で、柔らかく、温かい、そんなイメージです。

――佐々木さんは、第五幕のEDテーマ「My Sunset」を歌唱されましたが、こちらの感想はいかがでしたか?

佐々木 どこか懐かしさを感じるような、優しくて温かくて、それでいてちょっと切ない歌詞が好きです。第五幕のEDテーマとして使用されるので、気合いを入れてたくさん練習しました。レコーディングは、音楽の斉藤(恒芳)さんがブースの中でピアノを弾いて、本番前にレッスンをしてくださったのがありがたかったですね。

――斉藤さんから何かアドバイスはありましたか?

佐々木 はい。横に揺れるような歌い方がいいですよとか、希望を持ってもっと明るく歌ったほうがいいですとか、たくさんアドバイスをいただきました。最初は切ない歌詞にそのまま切ない感情を乗せていたんです。でも、切ない歌詞を明るく歌って、希望を持たせたほうが山田さんに合っていると。おかげさまでとても伸びやかに歌えました。

上坂 今、ちょうど聞かせていただいているんですが……浄化ソングですね! 第五幕のあとにこの曲が流れたら泣いちゃうと思います。山田さん、優勝です!

佐々木 ありがとうございます(笑)。山田さんにとっては入試のときにも歌った思い出の歌ですし、みんなが息を呑むシーンなので、しっかり向き合わないといけないというプレッシャーはあったんですが、歌詞にも山田さんにも寄り添って歌えたかなと思います。

――杉本と山田のEDテーマ「シナヤカナミライ」についてはいかがですか?

上坂 男役、娘役に分かれて歌うデュエットになっています。杉本さんが男役ということで、自分ではレコーディング当日まで「男役の歌い方ってなんなんだろう?」って正解に辿り着けなかったのですが、斉藤さんの独特なディレクションのおかげで気持ちが乗せやすかったです。

佐々木 喩えが面白い方ですよね。

上坂 そうなんです。私は「南フランスにいる馬」と言われました。「南フランスに行ったときに野生の馬が走っていたことがあって、その雰囲気」って。そのイメージで歌ったらOKをいただけました(笑)。ほかにも感情面でのディレクションをしていただいたおかげで、最初は杉本さんを意識しすぎてちょっと硬めだった歌い方が、緩急のついた表情豊かな歌い方になりました。

佐々木 私は上坂さんがレコーディングしたものを聞いてからのレコーディングだったんです。それを聴いて鳥肌が立ちました。男役だとすぐにわかるかっこいい雰囲気で。

上坂 ありがとうございます!

佐々木 杉本さんと声が重なり合う部分もあったので、私は娘役を意識しつつも夢を諦めない気持ちや芯の強さを大事にしながら歌いました。「シナヤカナミライ」のレコーディングでは斉藤さんに直接お会いできなかったんですが、「娘役は歌劇の世界では男役を引き立てる存在ではあるけれど、ちゃんと輝いている存在なので負けないように歌ってください」といったメッセージをいただいて。そのおかげで力強さが出せました。本当に楽しかったです。

――では、上坂さん演じる杉本についても聞かせてください。これまでを振り返って、何か印象に変化はありましたか?

上坂 紅華愛で頑張ってきて、首席で入学して委員長になった子なので、ここまで気を張るシーンが多かったなという印象です。まさに予科生代表を地で行く子ですが、話数を重ねて、ちょっとずつ人柄の良さや面倒見の良さが出てきたかなと思います。

佐々木 真面目で努力家で完璧主義の杉本さんという印象があって、すごく憧れます。でも、ときどき見せる紅華愛の強さ……鼻血を出しながら愛を語る姿が面白くて。そのギャップが素敵だなと思います。

上坂 特に第五幕は杉本さんの紅華愛が出たところかなと。一番、ギャグキャラなんじゃないかって思いました。

佐々木 杉本さんは熱い一面もありますよね? 先ほど上坂さんがおっしゃったように、アフレコでご一緒することが多くて、いつも熱い芝居を見せていただきました。

上坂 見た目通り、真面目な委員長というベースはあるんですけど、そこにも紅華への愛という若々しいパッションがあるので、上品さと同時にガッツのある感じも大事にしています。それで思ったのが、たぶん杉本さんは気をつけないと部屋が散らかっちゃうタイプなんじゃないかなって(笑)。

佐々木 あ~確かに! 何かに熱中しすぎたときとか、そういうことがありそうですね。

上坂 そうそう。紅華に関係するものは綺麗にしているけど、それ以外は……みたいなところがありそうだなって。自分を頑張って律しながら他人を引っ張っていくタイプの子なのかなと思いました。

――第三幕では、橘先生に体型を指摘された山田に対して、「自己管理の問題だと思う」と厳しい意見を言うシーンもありました。

上坂 あのシーンは杉本さんの意見として指摘したというよりも、紅華の生徒としての心構えを確認するようなニュアンスを意識しました。気をつけなさいという忠告ではなく、思春期の女子にはよくあることだけれど、ここにいる限りは気にかけないといけないんだという覚悟のような言い方ですね。なので、感情は抑えるようにしました。

――ところで、山田の苦悩について佐々木さんは「同じ悩みを抱えた」とおっしゃり、上坂さんは「体験したことがほとんどなかった」とおっしゃっていました。こちらについてもう少し詳しく聞かせていただけますか?

上坂 私はわりと運に恵まれ続けている人生なので、何も信じられないといった苦悩はほとんどなくて……。むしろ運のほうが自分の実力を超えているんじゃないか、どうしようと悩むことのほうが多かったです。それこそ役をいただいたのに完璧にできない、実力が追いついていないというところで頑張らなきゃいけないなと何度も思わされてきました。

佐々木 秋田から上京したばかりの頃は、山田さんみたいに一つ一つの言葉を真に受けて気にしていたので、橘先生の厳しい言葉は「私もこう言われたら引きずっちゃうな……」って思いました。ほかにも、憧れの声優さんやアーティストさんの活躍を目の当たりにしたときは、「私も頑張らなきゃ」って自分を追い詰めたこともあって。思い詰めると私もあまり食べられなくなることがあったので、その頃を思い出しました。

――今はもうそこまで思い詰めることはないですか?

佐々木 そうですね。お仕事をする中で自分は一人じゃない、まわりにたくさん支えてくださる方がいると実感できるようになって、それからは悩みつつもしっかり自分を持って頑張れるようになりました。

――では最後に、第六幕以降の見どころを聞かせてください。

佐々木 個性豊かなキャラクターたちのストーリーがまだまだたくさんあります。どのキャラクターも素敵なので、その活躍を楽しんでいただきたいです。個人的には、沢田姉妹のお話がどんな映像になっているのか楽しみにしています。アフレコでもよく一緒になることがあって、双子の声優さんならではの息ぴったりなお芝居に感動しました。

上坂 今後も予科生のお当番回があり、担当話数でそのキャラクターが深掘りされていきます。そろそろ皆さんの推しも決まってきた頃だと思いますが……今はみんな山田さん推しかな?

佐々木 ええ~!

上坂 たぶん、山田さん推しになっている気がします(笑)。でも、杉本さんにもスポットが当たりますので、ぜひ楽しみにしていただきたいです。あとは予科生同士の関係性がこれからもどんどん変化していくので、その関係性にも注目してください。よろしくお願いします。

コラム

皆さんのお仕事(漫画家、監督、音楽、声優など)における「トップスターの条件」を教えてください。

上坂

存在感、ですね。私は昔の邦画が好きでよく見ているんですが、例えば三船敏郎さんが出てくると画面に吸い込まれてしまうんです。
いろいろな要因があると思います。
でも万能の人という意味ではなく、仮に何か欠点があったとしても引きつけられてしまうような、
不思議なオーラや存在感を持っているのがスターの条件なのかな、と。

佐々木

期待に応え、期待を超える、愛のある人。
期待以上のものを届けられる人って本当にすごいなと思いますし、
その中でも周囲の方への感謝の気持ちや気配りを忘れない人こそ真のトップスターだと思うんです。
私もそれを心がけるようにしています。

PAGE TOP